伊豆の木で家を建てる会 (健康な暮らしと環境のための情報誌)
【山林が手入れされず荒廃している】
1.やすらぎをもたらす木の空間    2.学校でも見直される木
3.健康で安全な木造建築    4.木の家は地球温暖化を防ぐ
5.国内外の木材の現状と地球温暖化    6.国産材はすぐれている
7.屋内外の空気汚染の歴史    8.シックハウス症候群
9.地元の杉・桧を使った木と土の家に住む(天城の家)   10.国産材(杉・桧)と土で家を建てる!
11.国産材(杉・桧)で建てる家は高いのか?

家族の健康と環境に優しい住宅を建てるために知っておきたい知識!

 

4.木の家は地球温暖化を防ぐ

現在、地球の大気中に、二酸化炭素が増えています。
この100年あまり、人間が石炭・石油などを燃やし、大量のエネルギーを消費して
いるからです。
そして増えた二酸化炭素が断熱材のように働くことで、地球の温暖が進んでいます。

大気中の二酸化炭素を減らして、地球温暖化を回避するには、
いくつもの方策があります。
大量のエネルギー消費をやめ、石油などの化石燃料の消費を減らすことが最も
大きな課題ですが、すでに排出された二酸化炭素を減らす工夫もぜひとも必要です。
そのためのひとつの柱が森を育て、木を増やすことです。

植物、特に木は、太陽の光のエネルギーを使って、空気中の二酸化炭素を吸収し
自分の体(葉、枝、幹)を作ります。(光合成)
つまり、木は空気中の葉や木材として固定・蓄積するのです。
このため、単純に言えば、植物の量が多ければ多いほど、空気中の二酸化炭素は
少なくなります。

木はそういう意味で「二酸化炭素の吸収・貯蔵庫」なのですが、木の家も、
何十年も木を木のまま使うので、理想的な炭素貯蔵庫となります。

また、家を取り壊す場合にも、リサイクルの可能性が広くあります。
太く立派な柱や梁は、再び同じ用途に使用したり、古風な味わいを出す内装材として
用いることができます。

再利用できない木材は、燃料に利用せざるを得ず、二酸化炭素が大気中に
戻ってしまいますが、そもそもこの二酸化炭素は木が生きている間に空気中の
二酸化炭素を吸収・固定化したものですので、化石燃料が出す二酸化炭素とは違い
大気中二酸化炭素を純粋に増加させるものではありません。
(これを「CO2 ニュートラル」と言います)

燃やすとき出るエネルギーを効率的に利用すれば、その分化石燃料の消費を
抑えることができ、また毒性物質を出さないので、環境への負担は少なくなります。



【森の若返りが重要】

木は炭素をためるわけですが、ではただ森を増やして木を伸ばし放題にしておけば
よいかというと、そうではありません。
木は若いうちはたくさん光合成を行ない、葉を茂らせ、幹を太らせていきます。

ですから、特に保護すべき価値のある原生林や、景観や文化的意義のある
天然林などを除いて、木が通常に育つ環境で、しかもきちんと計画・管理されて
いれば、十分育った木を伐って、新しい若木を育てることが、
とても重要なことなのです。

十分に育って、もう炭素を蓄積しなくなった木は、逆に太く良い木材として
売り出すことができます。
このことが、今、日本の森にとってとても重要なことです。

日本の森は、木材が売れないためにお金や手間がかけられず、
たいへん荒廃しているからです。

伊豆の山も同じ状況で、間伐などの森の手入れがされないために、
木が成長できず、台風が来るたびに、成長できず根のしっかりはっていない木が
強風に倒され、放置されているのをよく見かけます。

家を建築する際、地元の木材を積極的に利用することにより、山林の新陳代謝も
促進され、お金が山に還元できれば、手入れも行き届き、山林の保全にも繋がって
いくと思います。